フレイル予防・改善効果

EFFICACY

高齢者のためのフレイル予防運動プログラム「ステッキーズ」は、
オンラインでの指導においても、対面での指導と同程度の効果を発揮することが実証されています。

高齢者のためのフレイル予防運動プログラム「ステッキーズ」は、オンラインでの指導においても、対面での指導と同程度の効果を発揮することが実証されています。

身体的フレイルの予防・改善
ステッキーズ・オンラインのすすめ

熊谷秋三

博士(医学)
高齢者体力つくり支援士(ドクター)

九州大学名誉教授
熊谷健康政策研究所 所長
東亜大学融合バイオヘルス研究所 研究教授
株式会社環境技研 ワン・ツウ・スポーツクラブ中央 顧問

1.身体的フレイルは予防・改善できるか?

フレイルとは、これまで「虚弱」として位置づけられた状態を、適切な対応により自立状態に回復できることを前提として新たに定義された造語です(日本老年医学会、2014)。特に身体的フレイル(以下、フレイル)は、認知機能低下、転倒、睡眠障害といった高齢者が陥りやすい日常生活機能障害との関連が深いことが分かっています。

これまでに私達は、①フレイル状態は要介護認定発現リスクを2倍増やすこと、②フレイルの判定基準(図1)である身体活動や体力(握力や歩行速度)の低下も要介護認定の独立した危険因子であること、③フレイルは、数カ月の適切な身体活動・体力アップを目的としたリモート・リアル型双方の対面の運動介入等で改善できること、④フレイルは6項目の質問に回答するだけで簡易にチェックでき、かつ運動介入後のフレイル改善効果の評価にも利用できることを実証してまいりました 1)

図1 身体的フレイルの判定基準
(3個以上該当するとフレイルと判定)

2.コロナ禍でのフレイル予防・改善の必要性

 最近の報告によると、COVID-19に感染した患者さんの45%(2人に1人)はフレイル保有者であるとのメタ分析の結果が報告されています。おそらく、今後は種々の疾患や障害にもコロナ感染の影響が派生することも危惧されています。さらに、コロナ禍におけるフレイル進行抑制に関して、フレイル関連の国際雑誌の編集委員からSAVEモデル(図2)が提唱されています2。Sは社会的孤立の回避、Aは十分な栄養摂取、VはビタミンDの補給、そしてEの運動を意味しています。

図2 コロナ禍におけるフレイル振興抑制のための
SAVEモデル(著者邦訳・改変)2

 私の専門領域は身体活動疫学と健康政策です。先にも指摘しましたが、私たちはフレイル状態にあるとフレイルではない人に比べ約2倍程度、要介護認定率が増加することを報告しました。
 また、フレイルの判定基準でもある体力・運動能力(握力や歩行スピード)に加え、息が弾む程度の中高強度の身体活動の実施時間も、単独で介護認定率を高めることを見出しました。これらの事実は、運動によるフレイル予防、さらには要介護認定抑制の可能性を示唆しています。事実、私たちは3カ月の運動プログラムによってフレイルやその前段階のプレフレイル状態を半減できることも認めています。特に強調したい点は、完全リモート型運動指導によってもリアルな対面指導と同程度の改善効果があることです。これらの成績は、コロナ環境下にあって高齢者への対面・接触指導介入が実施できない介護施設内やフィットネスクラブ等でのフレイル予防・改善の可能性を示唆しています。

3.介護施設利用者の皆様へのメッセージ

 介護施設の利用者(入居者、デイサービス利用者等)の健康状態の改善、要支援・要介護度の改善、自立の維持が可能となることで、①介護従事者の負担軽減. ②介護利用者の生活の質(QOL)の向上. ③利用者家族の負担軽減、満足度の向上. ④介護施設の評価の向上などが期待できます。さらに、リモート型フレイル予防システムの開発・運用は、平時のみならずコロナ禍における高齢者の自立を促し、平時において多用されているリアルな対面型に加えリモート型フレイル予防システムとの融合を含めたフレイル予防システムの強化をもたらすことが期待されます。ステッキーズ・オンラインは、その名前の通り、オンラインによる運動指導となり、運動環境の安心安全はもとよりフレイル予防・改善に効果的な運動プログラムを提供します。
 近い将来には、ウェアラブルデバイス(血圧計、活動量計など)によるヘルスモニタリングによって運動中や日常生活での安全管理および自宅・介護施設等での個別化された健康情報に基づいた指導をうけることができるようになるでしょう。

参考文献

1)熊谷秋三他:域における身体的フレイルのためのヘルスケア-システム.健康支援,22:129-136, 2020.
2)Boreskie, KF, et al.:J Frailty Aging. 2020 Jun 6:1–3.doi:10.14283/jfa.2020.29